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院長ブログ

肩関節の痛み〜石灰性腱炎・石灰沈着性腱板炎(2021.04.10更新)

今回は肩関節の痛み、拘縮の原因となる石灰性腱炎(石灰沈着性腱板炎)について説明したいと思います。

<定義>

石灰沈着性腱炎は、腱、滑液包、腱鞘滑膜などの関節周囲の軟部組織にアパタイト結晶が沈着し炎症を起こす疾患です。罹患部位は肩関節、手または手関節、股関節、膝関節などで、肩関節に特に好発します。かつ石灰が腱板に沈着するので、石灰性腱炎という病名が肩で用いられます。肩石灰性腱炎は沈着したアパタイト結晶が白血球に貪食され、腱板や肩峰下滑液包に急性炎症を誘発したり結晶の化学的、機械的刺激で肩峰下滑液包炎を生じ慢性疼痛をきたす疾患と定義されます。

<疫学>

単純レントゲン撮影で腱板に石灰沈着がある頻度は人口の3-7%ほどで、そのうち40%ほどが肩関節痛を訴えます。さらに40-60歳代の症例が約70%を占めます。性別は女性に多く中年から初老の女性に好発する傾向があります。

罹患側に左右差はありませんが、両側罹患例も多く棘上、棘下筋腱が主な沈着部位です。

<症状、診断>

本疾患は3種類の臨床型に分類されます。激しい痛みで肩を動かせなくなりますが、症状は2週ほどで軽快し、持続しても4週までの急性例、急性例より軽い症状で1-6ヶ月続く亜急性例、可動域制限はないものの有痛弧(painful arc)症状を伴う軽度の痛みが6ヶ月以上持続する慢性例があります。

これらの型は石灰物質の部位に関係します。急性例は石灰物質が腱板内から肩峰下滑液包下または滑液包内に漏出し急性炎症を誘発します。一方、慢性例は腱板内に局在した石灰物質の機械的刺激で二次性の肩峰下滑液包炎が起こり、インピンジメント症候群を呈した状態になります。亜急性例は二次性肩峰下滑液包炎に時々急性炎症を合併する状態です。また、稀ですが石灰性腱炎で拘縮肩になる場合があります。

肩関節の単純レントゲン撮影で石灰がどの腱に沈着しているかを確認し臨床型を分類すれば診断は確定します。

<治療>

臨床型により治療法が異なります。

急性例には安静、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の投与や肩峰下滑液包への局所麻酔薬と副腎皮質ステロイド(以下ステロイド)の注射、石灰物質の穿刺吸引を組み合わせて行います。痛みが軽減すれば機能障害は改善します。

慢性例ではNSAIDsの投与、可動域訓練、腱板機能訓練、肩峰下滑液包への局所麻酔薬とステロイド注射、石灰物質の吸収を促進するため注射針による穿刺が行われたりします。これらの治療を数ヶ月行っても改善しない場合は体外衝撃波療法や鏡視下石灰摘出などを行います。

本日は以上となります。

お読みいただきありがとうございました。

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