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骨粗鬆症と運動療法続き

[2020.12.02]

本日は前回のブログの続きです。

骨粗鬆症骨折患者に生じる代表的な脆弱性骨折は脊椎骨折、大腿骨近位部骨折(股関節の骨折)、橈骨遠位端骨折(手首の骨折)、上腕骨近位端骨折(肩の骨折)です。

脊椎骨折により生活の自立度は低下することが分かっています。また椎体骨折が1ヶ所の場合よりも複数ヶ所の場合の方が、より大きく自立度が低下します。
大腿骨近位部骨折は移動能力を低下させ、骨折をきっかけに要支援・要介護状態になることが多いです。これは私が勤務した回復期病院においても現実を目の当たりにしましたし正にその通りだと実感しています。

また大腿骨近位部骨折後1年以内の死亡率は最大で20〜24%で、既存疾患のために亡くなることが多いという報告もあります。

このように骨折を予防する、骨折の連鎖を断ち切ることが骨粗鬆症治療の本質であると考えます。

老年期に行う運動療法

前置きが長くなりましたが今回は老年期に行う運動療法についてお話ししたいと思います。

以前のブログをお読み頂いた方はご存知かと思いますが、運動療法だけでは骨密度を上昇させることは難しく薬物療法や食事療法と合わせて行う必要があります。

日本整形外科学会では、ロコモトレーニング(ロコトレ)としてバランス能力をつける片足立ち(左右1分間ずつ1日3回)と下肢筋力をつけるスクワット(深呼吸をするペースで5−6回繰り返す、1日3回)を推奨しています。片足立ちは両足立ちに比べて2.75倍の負荷が片側の大腿骨頭に加わり、1分間の片足立ち訓練は約53分の歩行に相当します。

運動療法により身体機能が改善し、転倒が防止されるとする論文は多いです。また骨量減少と転倒を防止する事により骨粗鬆症性骨折の発生を減少させることが期待されています。

しかしながら、実際のところ運動療法にどの程度の骨折防止効果があるのかは科学的根拠に乏しいため今後の蓄積したデータ及び解析が必要とされます。人生100年時代を迎え、さまざまなライフステージで適切な運動を行い、病的な状態においては運動療法で介入することが重要です。

まとめ

  • 成長期から運動習慣を身につけ(特に跳躍型の運動)最大骨量を高めること
  • 骨折危険因子を評価し、個々に適した運動療法と薬物療法を組み合わせ、骨折や寝たきりを防止して健康寿命を延伸する

本日は以上です。

(参考文献 酒井昭典;健康寿命の延伸として骨粗鬆症対策は重要である:The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.6 No.2 2020,122-126) 

 

【お知らせ】

12月5日(土)12月19日(土)に私が整形外科診療を行います。また来年1月以降は毎日整形外科診療を受け付けています。もちろんインフルエンザワクチン接種も可能です。電話予約で受け付けていますのでご利用ください。

また診療日の変更があれば当ブログでお知らせいたします。

むつみクリニック 整形外科・骨粗鬆症専門外来

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