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骨粗鬆症治療における最新の治療薬(ロモソズマブ)について

[2021.06.20]

今回は臨床現場において用いている骨粗鬆症の新薬についてのお話になります。

今回はロモソズマブについてお話しできればと思います。

骨細胞から分泌された骨形成抑制と骨吸収促進をもたらすスクレロチンの阻害薬として開発された抗スクレロチン抗体ロモソズマブは、多数の臨床試験を経て骨粗鬆症の治療薬として承認されました。

1年間のロモソズマブ投与により著しい骨密度上昇と骨折抑制効果が認められ、その後に骨吸収抑制薬である抗RANKL(receptor activator of NF-κB ligand)抗体であるデノスマブに移行することで、引き続き骨折抑制効果が維持されることがわかっています。

一方でロモソズマブは全くの新規薬剤であり一部の臨床試験の結果からは心血管イベントの増加に関する懸念が示唆されています。日常診療においては薬剤の作用機序、有効性に加えて安全性に関する情報を踏まえて個別にリスクとベネフィットを検討することが必要となります。

新薬の治療もそうですが、私の専門領域である骨粗鬆症治療薬においては、骨代謝調節機序の解明が細胞レベルから分子レベルへと進むにつれて、多くの骨粗鬆症治療薬が開発されてきました。安全性の観点からは骨特異性が高く他の組織に対する安全性の高いものが臨床応用に到達しています。

骨代謝への作用

ロモソズマブは骨形成促進作用と骨吸収抑制作用のデュアルエフェクトを有するとされています。実際ロモソズマブ投与後の骨形成マーカーおよび骨吸収マーカーの推移を見ると、骨形成マーカーは早期に急速な増加を示し、骨吸収マーカーも早期に急速な減少を示します。

骨折防止効果

FRAME試験における新規椎体骨折抑制効果はプラセボに対し有意な抑制効果が認められました。

またARCH試験においてはアレンドロネート継続群に対し、ロモソズマブ投与後アレンドロネート継続群では臨床骨折、非椎体骨折、主要骨粗鬆症骨折、大腿骨近位部骨折のいずれにおいても有意な骨折抑制効果が確認されました。

まとめ

このようにロモソズマブは骨粗鬆症治療にとって非常に高い有効性が期待されている一方で安全性が十分に検証される必要があります。その上治療される側の立場に立つと、治療費が高額になりやすく安易に適応を拡大することは避けなければなりません。

ロモソズマブを長期的な治療戦略にどのように位置付けるかについて議論を進めて行くことが求められます。

本日は以上になります。

(参考文献 ①竹内靖博 ロモソズマブの作用機序;The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.7 No.2 2021,114-118②宗園聰 骨代謝への作用と骨折防止効果;The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.7 No.2 2021,119-124)

 

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