サルコペニアを合併した大腿骨近位部骨折術後患者の歩行能力について
サルコペニアは欧州のワーキンググループにより「筋量と筋肉の進行性かつ全身性の減少に特徴づけられる症候群で身体機能障害、生活の質(quality of life;QOL)の低下、死のリスクを伴うもの」と定義されています。
サルコペニアと骨粗鬆症は密接な関係があり、お互いに関連しやすいことが報告されています。また筋肉量の少ない閉経後女性には骨密度測定を行い、骨粗鬆症に対して早期介入すべきと報告されています。特に大腿骨近位部骨折、脊椎椎体骨折におけるサルコペニア有病率は高く、二次骨折予防を含め骨粗鬆症に対する早期介入が非常に重要になります。
75歳以上の後期高齢者女性の大腿骨近位部骨折で追跡可能であった53例のうち術前が独歩可能であった症例に対しBMI、DXA法による腰椎、骨密度測定、サルコペニア有病率、術後1年の歩行能力につきサルコペニア群と非サルコペニア群で比較しました。
結果はBMIはサルコペニア群で有意に低く、骨密度は腰椎、大腿骨ともに有意差を認めないという結果でした。術後1年の歩行能力については非サルコペニア群で有意に歩行能力が維持されていて杖歩行、伝い歩きに低下した症例はサルコペニア群36例中26例(72.2%)、非サルコペニア群17例中9例(52.9%)でした。
この研究デザインではサルコペニアを合併した大腿骨近位部骨折症例では最終的に歩行能力が低下することが分かりました。
サルコペニアについては当ブログでも以前お話ししました。詳しくはこちら
本日は以上となります。
(参考文献 Walking ability after hip fracture with sarcopenia in women over 75 years of age;T.Naohide.The Journal of Japan Osteoporosis Society 7(3):475-481,2021)
むつみクリニック 整形外科・骨粗鬆症専門外来
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