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脳卒中と骨粗鬆症の関連性

[2021.12.14]

 脳血管疾患(脳卒中)は、介護保険認定の原因疾患として全体の第2位の16.2%を占めており、要介護度が重度になるほど割合は増加する傾向にあります。脳卒中は運動機能障害やバランス障害、高次脳機能障害などにより日常生活動作(ADL:activity of daily living)に制限をきたし、不動または不活発に陥りやすい疾患です。脳卒中症例は健常高齢者よりも大腿骨近位部骨折のリスクが2-4倍高くなると報告されており、65歳以上の大腿骨近位部骨折症例の基礎疾患において、脳卒中は8.6-22.4%を占め、その骨折の多くが麻痺側で発生すると報告されています。

脳卒中ガイドラインにおいて骨粗鬆症の予防または治療の必要性について述べられていますが、脳卒中発症直後から1年程度までの骨粗鬆症に関する研究であり既往に脳卒中がある症例の骨状態や骨粗鬆症に関する治療状況についての把握が困難な状態です。

 骨粗鬆症は、大半を占める原発性骨粗鬆症と糖尿病、高血圧症、脂質異常症および慢性腎臓病などが明らかな原因疾患が背景に存在する続発性骨粗鬆症に分けられます。その一方で脳卒中の要因となる疾患も糖尿病、高血圧症、脂質異常症および動脈硬化などであり、続発性骨粗鬆症と脳卒中の基礎疾患は共通しています。これらの事より脳卒中症例で骨量の低下が進行しやすいことが予測されます。

脳卒中患者の骨粗鬆症治療の問題点

脳卒中症例は、基礎疾患の治療を目的に病院を定期受診しているにも関わらず骨粗鬆症治療を受けている通所リハビリテーション施設利用者は19%という報告があり、脳卒中症例の骨粗鬆症予防や治療を受けている方が少ないという報告もあります。

骨粗鬆症治療に至っていない原因としては、骨粗鬆症には目立った症状がないため日常的に気づきにくい疾患であるという特徴が挙げられます。

治療に携わる医師にとっても事情は同じであり、治療の優先順位が低くなっていると推測されます。さらに脳卒中発症後に骨粗鬆症検診を受けた施設利用者は13%にとどまっています。その要因として脳卒中患者は移動能力に制限があることが多く健康増進法に基づく骨粗鬆症検診のように一般住民を対象にしている検診に自ら参加することは極めて困難な状況にあると考えられます。

今後の課題

脳卒中患者が利用することの多いデイサービスなどの通所リハにおいて、骨粗鬆症の可能性が高い利用者を早期に発見し、検査結果をケアマネージャーや主治医と共有し連携することで、骨粗鬆症の早期治療につなげることができると考えられます。そのためには地域での医療介護連携の構築が必要不可欠です。同時に薬物治療だけでなく栄養や運動指導も重要なため管理栄養士による栄養指導、看護師による服薬および生活管理指導、理学療法士などによる運動療法も重要となります。

本日は以上となります。

(参考文献 Toshihiro Asai,Bone mass and osteoporosis screening attendance in stroke hemiplegic patients receiving outpatient rehabilitation;The Journal of Japan Osteoporosis Society 7(4):611-619,2021)

 

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