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果たして骨粗鬆症と痛みは関係あるのか?

[2022.03.13]

 骨粗鬆症患者では疼痛の程度が日常生活動作(activities of daily living:ADL)野生活の質(quality of life;QOL)を決定する重要な因子となります。また、患者さんの70%以上に週1回以上の痛みを認め、そのうち80%が痛みによるADLの制限を自覚していることが報告されています。そのため骨粗鬆症に伴う疼痛の管理は患者さんのADLやQOLを維持するために重要となります。

骨粗鬆症に伴う痛みの原因とは

 骨粗鬆症に伴う疼痛発生の原因としては、脆弱性骨折や偽関節、骨折後の骨格変形によるものが挙げられます。さらに骨粗鬆症の病態自体が疼痛発生に関与したり、骨粗鬆症治療薬によって骨代謝が改善することで患者さんの疼痛を軽減する事が報告されています。(※1 ※2)

 以下に痛みの原因別に分かりやすく述べたいと思います。

①骨折や偽関節、骨格変形による痛み

 骨粗鬆症に伴う疼痛の主な原因は、脆弱性骨折や偽関節、骨折後の骨格変形です。骨折を起こすほどの有害な機械的ストレスや、組織損傷に続発した炎症によって、炎症性細胞から放出された物質が作用することで急性の痛みを引き起こします。骨折による疼痛は骨ができること(骨癒合と言います)で次第に改善します。

 一方で長期間にわたって骨癒合を認めない偽関節では骨折部の不安定性と頑固な慢性疼痛を引き起こす事があります。さらに椎体骨折後に生じる脊柱変形では、脊柱筋の筋収縮活動が亢進する上、筋の内圧上昇、循環障害、筋萎縮が生じ疼痛の原因となります。

②骨代謝亢進と疼痛

 骨代謝が亢進した状態では活性化した破骨細胞や骨芽細胞から疼痛に関連した物質がより多く産生されます。それに伴い疼痛を誘因する負のサイクルが回り続けることで骨代謝亢進と疼痛を誘発する相乗効果を発揮すると考えられています。

 骨粗鬆症に伴う主な原因は上記の通り、脆弱性骨折や偽関節、骨折後の骨格変形になります。骨粗鬆症の病態自体による疼痛に関する研究もいくつか報告されていますが、その発生機序や治療法については確立された見解はありません。今後この分野でのさらなる研究の進展により、疼痛発生機序の解明や治療法の確立が期待されています。

本日は以上となります。

 

【参考文献】

射場浩介:骨粗鬆症と痛みのメカニズム.The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.8 No.1 2022:5-9

※1  Ohtori S et al:Risedoronate decreases bone resorption and improves low back pain in postmenopausal osteoporosis patient without vertebral fractures.J Clin Neurosci 17:209-213,2010

※2 Fujita T et al:Alalgesic effect of raloxifene on back and knee pain in postmenopausal women with osteoporosis and/or osteoarthritis.J Bone Miner Metab 28:477-484,2010

 

むつみクリニック 整形外科・骨粗鬆症専門外来

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