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骨強度を高めよう

[2021.02.16]

我が国において高齢者の骨折は増加傾向にあります。骨粗鬆症を背景に発生する高齢者の脆弱性骨折は、要介護に至る主な原因の一つとなっています。

薬剤だけでなく運動や栄養を含めた包括的な骨粗鬆症診療を実行し、骨折予防を目標とする必要があります。

薬物治療の開始基準

薬物治療の開始基準としては骨密度だけでなく、脆弱性骨折(軽い外力で発生した非外傷性骨折)の有無が重要となります。

また骨密度の値に関係なく大腿骨近位部骨折や椎体骨折といった骨折を起こした方は薬物治療の開始適応となります。(骨粗鬆症の予防と治療ガイドラインでも推奨されています)

他には肋骨、骨盤、上腕骨近位部、橈骨遠位端、下腿骨などの部位に脆弱性骨折がある場合も、骨密度が若年成人の平均値(YAM)の80%未満であれば治療を開始し脆弱性骨折がない場合でも骨密度がYAM70%以下であれば治療開始が推奨されています。

薬物治療を始める前にするべきこと

骨量維持のためには力学的負荷が重要です。以前のブログでも述べたように跳躍刺激が骨量維持に寄与することがわかっています。流石に高齢の方が跳躍を行うことは危険であるため少なくとも立位歩行などの運動指導を行います。カルシウムやビタミンD不足にも注意し栄養管理も同時に行います。サプリメントでの補充も選択肢として良いと思いますが、それだけに頼ることはお勧めしません。

カルシウム吸収に必要なビタミンDは高齢者では不足状態にあることが多いです。血中25-ヒドロキシビタミンDの値を確認し、不足している場合には晴れた日のウォーキングなどビタミンD産生を促す紫外線を浴びるよう指導します。腎機能障害を有する場合はビタミンD活性化障害を持つため活性型ビタミンD製剤を内服します。

基本的に骨粗鬆症治療薬の臨床試験はカルシウムとビタミンDが補充されている条件下で実施されているため薬物治療を始める前にはこれらを投与しておいた方が良いです。

併せて血液検査で骨吸収マーカーと骨形成マーカーを調べることで骨代謝(リモデリング)を評価し、数ある骨粗鬆症薬の中から、骨吸収抑制薬と開始するのか、骨形成促進薬を投与するのか判断します。もちろん自己負担金額がどれくらいになるのかも前もって説明することが重要です。

骨粗鬆症薬の種類についてはまたお話できればと思います。

本日は以上です。

(参考文献 骨粗鬆症を診る 門野 夕峰先生 埼玉医科大学大学院医学研究科整形外科学教授 コラムより一部参照)

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