腰痛診療ガイドラインをわかりやすく説明 その②
いよいよ冬本番が近づいてきました。冬になると気温や湿度が低くなり、ウイルスにとって増殖に最適な環境が整ってきます。インフルエンザだけでなく新型コロナウイルスにとっても同じです。もちろんこれ以外にも感染性のウイルスは存在します。
マスク、手洗いは言わずもがな、室内の加湿、なるべく鼻呼吸する、など意識して日々過ごしていきましょう。
本日は前回の続きになります。
「腰痛診療ガイドライン2019年度版」(執筆時では最新のもの)を医療従事者以外の方にもわかりやすくお伝えできればと思います。
⑥腰痛に薬物治療は有用か?
薬物療法は疼痛軽減や機能改善に役立ち、行うことを強く推奨されています。また急性腰痛や坐骨神経痛であればロキソニンなどの非ステロイド性抗炎症薬が強く推奨され、慢性腰痛だとセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬や弱オピオイドが弱く推奨(提案)されています。
⑦腰痛の治療として物理・装具療法・運動療法は有用か?
いわゆるリハビリに該当するのですが、物理療法(牽引治療、超音波治療、電気刺激療法、温熱治療)について理論的な話、機序などは省きます。それぞれに治療における報告の中でエビデンスレベルは低く、ガイドラインでは弱く推奨する、となっています。引き続き、有用性を検証するための質の高い研究が必要となるでしょう。
同じく、装具療法(コルセット、腰椎ベルト)に関しても同様で、弱く推奨する、となっています。
一方、運動療法については異なっています。エビデンスレベルが上がり、慢性腰痛に対して行うことを強く推奨する、となっています。決して急性腰痛に対する運動療法を勧めているわけではありませんので注意が必要です。
⑧腰痛に手術療法(脊椎固定術)は有用か?
腰痛の原因が椎間板障害であると判明している場合は手術が疼痛の軽減に有用となる可能性がある。しかし手術適応は厳密に検討する必要がある。
→椎間板障害であるかどうかは問診、検査、ブロック注射など総合的に判断します。安易に手術をすれば痛みが取れる、という考えは避けなければなりません。
⑨腰痛予防に有用な方法はあるか?
腰痛予防に運動療法は有用であり、運動している群としていない群とでは、再発頻度、再発回数に差が見られた。また妊娠中期の適度な運動が妊婦の腰痛発生率を低下させるという報告もある。
また職業性腰痛の予防には、運動および職場環境の改善(持ち上げ器具の使用や作業場の高さ調整など)が有用と書かれています。
→ここでいう運動とは、全ての運動を指すのではなく、医師の診察のもとに、慎重に検討されたプログラムのことを指します。
いかがだったでしょうか?
ガイドラインを全て網羅しているわけではありませんが、皆さんが気になるであろう箇所を抜粋してまとめてみました。
本日は以上です。
むつみクリニック 整形外科・骨粗鬆症専門外来
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