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慢性腎臓病と骨粗鬆症 続き

[2021.04.19]

本日は前回の続きになります。(前回記事はこちらからどうぞ)

腎機能障害は生活習慣病と密接に関連し、さらに腎機能障害は骨維持機能を障害することで骨粗鬆症を引き起こし、筋力低下も起こすということが示唆されています。

CKD(慢性腎臓病)による転倒リスク

CKD患者では前回述べたように腎臓における様々な機能の低下により、血圧、電解質異常、貧血、骨粗鬆症、筋力低下などが起きやすく、転倒・骨折リスクが高まります。

CKDでは転倒が多いことが疫学研究により示されています。65歳以上の高齢者を対象にしたコホート研究ではCKD患者が約1年の観察期間で転倒が多いことが示されました。さらにこの研究ではビタミンDの血中濃度が低いほど転倒が多いことが明らかになりビタミンDの関与が示されています。

電解質異常においても筋力低下や転倒リスクを関連し、65歳以上の高齢者に置いて135ml/L未満の低ナトリウム血症群では転倒のリスクが増加していました。同様の群において転倒後の障害状態が悪化し、入院期間の延長と死亡リスクの増加も見られています。

骨・筋・腎関連

CKD患者においては尿毒物質のインドキシル硫酸血中濃度が上昇し筋肉量の減少と関連することが示されています。インドキシル硫酸は細胞および動物実験により筋肉内のミトコンドリア代謝を介して酸化ストレスを誘導し筋肉量の調節を行っています。

このようにCKDの病態には筋腎連関、骨腎連関と複雑な臓器連関機序を形成しています。

腎臓リハビリテーション

腎臓病患者に対して運動療法、食事療法と水分管理、薬物療法、教育および精神・心理的サポートを行う腎臓リハビリテーションがあります。このプログラムの中にもサルコペニアやフレイルを予防し転倒・骨折リスクを改善させる取り組みがあります。以下日本腎臓リハビリテーション学会が推奨する運動療法を提示します。

  • 有酸素運動とレジスタンストレーニングを組み合わせる
  • 有酸素運動として週3-5日を目安とする。ウォーキングやエルゴメーターを用いた運動

運動強度は心肺負荷試験による最高酸素摂取量の40-60%あるいは嫌気性代謝閾値以下とする(→要するに軽く汗ばんだり、心拍数が上がる程度を目指せば安全と思いますが、心肺疾患や不整脈などをお持ちの方は担当医に相談が必要でしょう)

  • レジスタンストレーニングでは週2-3回を目安とする。自重もしくはダンベルなどの重り、ゴムチューブ、ウェイトマシンなどを用います。
  • 運動負荷は10-15回反復可能な強度を設定し1セット10-15回、1日1-3セット行う

 

いかがでしたでしょうか?

以上で慢性腎臓病(CKD)と骨粗鬆症についてのお話は終了となります。

当院では最新の骨粗鬆症検査機器を用いた検査、診察が可能です。

現時点での治療の必要性およびアドバイスを整形外科専門医が担当いたします。詳しくはこちら

(参考文献;慢性腎臓病における骨折・転倒リスクと運動;The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.7 No.1 2021 191-196)

 

むつみクリニック 整形外科・骨粗鬆症専門外来

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