現在の腰痛治療
腰痛は国民の8割が生涯に1度は経験すると言われています。社会生産性の高い年齢の方にも多く見られ、腰痛による社会的損失は非常に大きくなります。現在の治療原則は基本的には生活指導と運動療法になります。
活動性を維持し、運動療法を行いやすくするために薬物療法を補助的に行います。治療では適切な患者教育により運動療法を主軸とした患者のセルフマネジメント力(病識)を高めることが重要になります。
腰痛の多くは急性腰痛(いわゆるギックリ腰)の場合は鎮痛剤の併用などで1〜2週間程度で改善するケースが多いです。そのような場合は患者さんに対して、
寝たきりになる必要はなく、痛みの範囲内で社会活動、生活動作を行うことが重要である、とエビデンスに基づいた説明を行い安心してもらいます。
そんな中でもレントゲンやMRIでも痛みの原因を特定することが困難な腰痛もよく存在します。
注意すべき疾患としては
ガンの骨転移、脊椎感染症、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症など神経症状と伴う腰痛、膵癌、大動脈疾患が代表的です。
高齢者(特に女性)で注意が必要であるのは骨粗鬆症性脆弱性骨折になります。骨粗鬆症が進行した患者さんが不自然な姿勢で少し重いものを持ったり、バランスを崩して軽く尻もちをついた時でも骨折は起こり得ます。
骨折したまま放置するのではなく骨折の連鎖を断ち切るために骨粗鬆症の予防・治療が極めて重要となります。
注意すべき腰痛の症状(レッドフラグと言います)を以下に列挙します。
①横向きでじっと寝ていても腰が疼く、痛む
②痛み止めで一時的に楽になるが頑固に腰痛がぶり返す
③ガンの治療歴がある(完治と言われていても転移の可能性あり)
④ステロイド治療歴がある
⑤原因不明の熱がある
逆に、間違って理解されている事項としては、
①腰痛がある時は無理せず腰をかばう→動いて治す
②腰痛の原因は腰にある→ストレスが増悪因子になる
③コルセットが必要不可欠→腰をかばう行為が再発を引き起こす
④慢性腰痛には電気治療、マッサージが良い→まずはセルフケア、体操を
⑤画像でヘルニアがあると言われた→症状とリンクしていなければ気にしない
一般的な腰痛治療の大原則としては患者さん自身のセルフマネージメントを高め薬物療法、運動療法を組み合わせることが大切です。
どうしても原因を特定しがちになることが多いかと思いますが、必要な検査を行った上で納得した治療を主治医と共に行うことが、結果的に機能改善ひいては社会生産性の向上につながると考えます。
本日は以上です。
(参考文献 MatsudairaK.et al.PLoS One.2016 Feb 10;11(2) /NIKKEI MEDICAL2020年12月号診療update)
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