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院長ブログ

肘部管症候群(cubital tunnel syndrome)(2022.08.30更新)

今回は「肘部管症候群」についてお話します。

<定義>

 尺骨神経(ulnar nerve)は、上腕内側を直線上に走行し、肘関節から5〜7cm近位で上腕骨遠位部の深層筋膜、上腕三頭筋内側頭の一部と内側上腕靭帯から成るStruthers arcadeを通過した後、肘部管に入ります。肘部管が狭くなると、様々な臨床症状を呈し、狭くなる原因としては変形性肘関節症、上腕骨外顆骨折などの肘関節周辺骨折、ガングリオンなどが挙げられます。あるいは尺骨神経の周囲の筋肉による圧迫、牽引、摩擦により麻痺を生じることがあります。これらをまとめて肘部管症候群(cubital tunnel syndrome)と呼びます。そのうち小児期の肘関節周辺骨折などの後、数十年経過して麻痺を発症するものを特に遅発性尺骨神経麻痺(tardy ulnar nerve palsy)といいます。

肘部管症候群は絞扼性神経障害の中で、手根管症候群に次いで多い疾患です。

<病因  病態>

 肘部管症候群の原因としては、変形性肘関節症が最も多く、次に上腕骨外顆および上腕骨内顆骨折、肘頭骨折や橈骨頭骨折、肘関節脱臼後に発生するものが多くなります。このほかには上腕骨滑車形成不全による内反肘、滑車上肘筋、ガングリオン、脂肪腫、血管腫、骨軟骨種などが原因として報告されています。外傷を伴わずに急性に症状が進行する場合は、その原因としてガングリオンを考える必要があります。

 発症機序として圧迫、牽引、摩擦、神経脱臼が挙げられますが、その中でも特に圧迫が主因とされています。

<臨床所見>

 肘部管症候群の自覚症状は、手指尺側(小指側)のしびれ、肘関節部の違和感、疼痛で始まります。手根管症候群のように夜間の痛み、起床時のしびれなどの訴えは少ないです。症状は徐々に進行し、第4,5指の感覚鈍麻、第一背側骨間筋の筋委縮とピンチ力(つまむ力)の減弱、ボタンがかけにくい、箸が使いづらい等の巧緻性の低下が生じてきます。

 他覚的には、尺骨神経支配筋のみの麻痺、すなわち手掌、手背を含めた環指尺側半分と小指の感覚鈍麻、小指球筋と骨間筋の筋委縮と筋力低下がみられ、進行すると鉤爪指変形やFroment徴候を生じてきます。また内側上顆後方の尺骨神経の触診も重要で尺骨神経の肥厚とtinel徴候が見られ、肘屈曲による肘の痛みや手のしびれの増強を認めることも多いです。

<検査>

 変形性肘関節症によるものが多く肘関節の単純X線撮影を行います。診断にて神経伝導速度検査が必須となります。

<治療>

 しびれ感のみで他覚的に筋力低下や感覚障害がない場合には肘の伸展装具が有効とされていますが、基本的には本症と診断されれば手術的治療が適応となります。さらに術後成績は術前の神経障害程度と相関するため、診断がつけばなるべく早い手術が望まれます。

 

以上、肘部管症候群について整形外科の成書に基づいてわかりやすく解説いたしました。

お読みいただきありがとうございました。

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