高齢者において、加齢に伴う様々な機能の低下がもたらす状態をフレイルと呼びます。
2014年の老年医学会において、
フレイル=高齢期に生理的予備能が低下する事でストレスに対する脆弱性が亢進し、生活機能障害、要介護状態、死亡などの転帰に陥りやすい状態
と発表されました。
フレイルはQOL(Quolity of life)やADL(activities of daily living)に大きな影響を及ぼします。そして要介護状態に移行してゆくという点でも予防および啓蒙活動が大切になってきます。
超高齢社会を迎えている現在の日本では介護の予防の観点からも早期発見および早期介入が引き続き重要なことは言うまでもないでしょう。
フレイルの早期発見
では、フレイル状態を早期に発見するにはどうしたら良いのでしょう?
簡単な物としては、Edmonton frail Scaleという評価法があります。
具体的には、認知機能、健康状態、IADL、社会的支援の利用、薬の飲み忘れ・多剤内服の有無、栄養状態、抑うつ状態、尿失禁、機能的動作(Up&Goテスト)の9項目で評価を行います。
更に身体機能に着目した評価法では、Friedによる方法があります。
私もわかりやすいのでこちらを主に用いています。
①体重減少
②活動低下(主観的)
③握力低下
④歩行速度低下
⑤活動度低下から成る5つの症候
①〜⑤のうち3項目以上でフレイルと診断、1−2個でプレフレイル(フレイルの前段階)と診断します。
我が国で行われた調査研究によるとフレイルの頻度は6%ほどで、発生率は毎年1.2%上昇すると言われています。(※)
今後「フレイル」という言葉をどこかで目にしたり耳にしたりするかも知れません。概念や評価方法は高齢者に対する医療、および取り巻く環境を考える上で重要な意味を持っています。
高齢になればなるほど、フレイルが及ぼす影響は大きくなります。
(例えば、転倒による骨折や肺炎の重症化など。)
身近に「フレイル」を疑う方がいたり、自身がそうではないかと不安に思ってらっしゃる方がいたら、ぜひ担当医にご相談ください。
本日は以上です。
※Yoshimura N et al/Osteoporos Int 2018;29(10):2181-90