新型コロナウイルス流行における医療機関への甚大な影響は計り知れません。現状も国内の新規感染者は再び増加し始めています。
再び患者さんの受診控えが予想される中で、骨粗鬆症を含む慢性疾患患者の治療継続を維持することは非常に重要となります。
そういうわけで、今回は日本代謝学会および日本骨粗鬆症学会からの提言を参考に、緊急事態宣言下で周知された意見をまとめてみます。
従来の頻度で医療機関を受診できない骨粗鬆症患者さんが、どのような治療を継続すれば良いか、という点にポイントを絞っています。
一般的な推奨
- 十分な栄養と適切な運動は骨量維持や筋肉量の減少防止に必要で、人との距離を確保しながら、可能な限り以前と同等以上の運動量を維持する
- ビスホスホネート系以外の骨粗鬆症薬の効果は治療中止後数ヶ月以内に消失するため、治療の継続が必須である。
- 状態が安定している場合は、オンライン・電話診療での処方を検討する
非経口薬(飲み薬)による治療で通常の受診頻度が維持できない場合
- テリパラチド酢酸塩(テリボン)、遺伝子組換えテリパラチド(フォルテオ)の自己皮下注射をしている方 →自己注射の継続を。2−3ヶ月以上治療が中断したり24ヶ月の治療終了する場合は経口ビスホストネート製剤への変更を検討する
- テリボンの医療機関での皮下注射をしている方 →自己注射が可能なら週2回の自己注射への変更。2−3ヶ月以上治療が中断したり24ヶ月の治療終了する場合は経口ビスホスホネート製剤への変更を検討する
- デノスマブ(プラリア)の皮下注射をしている方 →プラリアの注射延期により多発椎体骨折が起こることが報告されている。このため前回注射から7ヶ月以上間隔が空いてしまう場合は経口ビスホスホネート製剤への変更を検討する
- ロモソズマブ(イベニティ)の皮下注射をしている方 →2−3ヶ月以上治療中断したり12ヶ月の治療終了する場合は経口ビスホスホネート製剤への変更を検討する
- ボナロン・ボンビバ・リクラストの静脈注射をしている方 →予定された投与時期を越えて数ヶ月以上治療が中断する場合、経口ビスホスホネート製剤への変更を検討する
- 経口ビスホスホネート製剤への変更が適切でないと判断される場合には、年1回の経静脈ビスホスホネート製剤(リクラスト)や6ヶ月に1回のデノスマブ(プラリア)を検討する
このように、使用している薬剤によって受診控えや来院頻度減少に対しての対応が細かく推奨されています。再び緊急事態宣言下の状況に酷似した状態にいつ陥ってもおかしくないため、状況に応じて骨粗鬆症治療中の患者様に適切な治療・アドバイスを与える役割を果たしていきたいと思います。
本日は以上です。