お役立ちコラム

ガンとロコモ

2020.11.16

今回はガンとロコモの関係についてお話しします。

一見「ロコモ(ロコモティブシンドロームの略)」と「ガン」とは関連がなさそうに思えるかもしれません。

ここで今一度ロコモについて説明しておきます。

ロコモティブシンドロームとは、

2007年に日本整形外科学会が提唱した概念です。年齢を重ねることで筋力が低下したり関節および脊椎などの機能低下をもたらし、立つ、座るといった移動機能が低下した状態を指します。可能な限り早い段階で発見しリハビリ介入したり治療を行うことで健康寿命の延伸を目指すことが重要です。

これにガンが関与するとはどういう事を指すのでしょうか?

「がんロコモ」は大きく分けて以下の3つになります。これらがお互いに相関することで移動能力の低下を来します。

ガン自体による運動器の問題

  • 骨転移による痛み・骨折・麻痺
  • 骨や筋肉などに発生する

 

ガンの治療による運動器の問題

  • 骨や関節の障害
  • 筋力低下や骨粗鬆症
  • 神経障害

 

ガンとへ依存する運動器疾患の問題

骨粗鬆症 変形性関節症 腰部脊柱管狭窄症 など

 

つまり、「がんロコモ」とは、ガン自体だけでなく、ガンの治療によって骨・関節・筋肉・神経などの運動器の障害が起きて移動機能が低下した状態のことを指します。そして進行することで日常生活が不自由になり介護が必要になるリスクが高まります。

例えば抗がん剤による化学療法を行うと約2週間後に白血球が大幅に減少します。そのため、どうしても活動を制限することを余儀なくされます。再び白血球が増えてきたら次の化学療法を行う、こういったことを繰り返します。

また、虫垂炎や骨折の手術など、一般的な手術で若年者であっても術後はベッドから車椅子に体を移す事も苦労します。自ずとガンに罹患する年齢層は高くなりがちであるため、化学療法や手術(中には数回繰り返す方もいます)を経験するごとに身体機能、移動能力の低下をきたすことは必然とも言えるでしょう。

入院中から適切なリハビリテーションに取り組み、退院時に運動器の健康を取り戻す事を目標に患者さんや担当医だけでなく他職種も交えて連携をとることが重要となります。

ガンに対する化学療法を施行可能かどうかという判断にPS(パフォーマンスステータス)という指標を用いていますが、日常生活の制限が大きいと治療の選択肢を狭めかねません。つまり運動器の状態がよくないと治療の選択肢が狭くなるということになります。

特に今年はコロナ禍により、外出や運動の機会が減った方が多いです。

今現在健康な方であってもロコモ予防に取り組んで頂ければと思います。

日本整形外科学会ではロコチェックというものでロコモ度を測定しています。リンクを載せておきますのでぜひ活用してみてください→こちら

本日は以上です。

むつみクリニック 整形外科・骨粗鬆症専門外来

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