今回は骨折編パート2になります。
比較的身近に起こる骨折をなるべく取り上げていこうと思います。
今回は「大腿骨頸部骨折」です。おそらく聞いたことや目にしたことのある方は多いかもしれません。(説明の都合上、大腿骨転子部骨折も含めます)
この骨折は高齢者に多発し骨粗鬆症を基盤として発症します。骨密度の低下や骨の脆弱化は骨折発生の危険因子です。高齢女性に多発することは言うまでもありませんが、受傷機転としては転倒した、尻餅をついたと言う場合がほとんどです。稀に施設入所中の方でオムツ交換などの際に足を捻ったりすることで骨折するケースも見られます。
古い統計にはなりますが、1997年時点での推計発生数は男性20800人、女性71600人で団塊の世代(1947〜1949年出生)が75歳以上になっている2020年代から十数年間は高齢者人口も多いために大腿骨頸部骨折の患者数も増えていくと予想されています。
症状
一般的には骨折直後から股関節の疼痛のため起立、歩行困難となります。レントゲンで確定診断することがほとんどですが、稀にMRIなどでしかわからない不顕性骨折もあります。こういった場合、意外にも歩いて外来に通院される方だったりします。
治療
基本的には全例手術適応となります。寝たきりによる廃用や血栓症・肺炎などの合併症により前進状態の悪化を来すことが予想されるため可及的速やかな手術が求められます。
大きく分けて骨接合術という金属性のスクリューや髄内定で固定する場合と人工骨頭置換と言って大腿骨の骨頭を入れ替える手術との分けられます。これに関しては骨折型および全身状態、施設判断により決まることが多いです。
(一般社団法人 日本骨折治療学会より画像転載)
合併症
大きく分けて上記2種類の手術似ついて話しましたが、骨接合術の合併症として偽関節、大腿骨頭壊死、late segmental collapseなどが挙げられます。術後1−2年の間に起こると言われており、注意深い術後フォローが必要です。
一方、人口骨頭置換術に対してはインプラント周囲骨折、セメント障害、脱臼、緩み(ルーズニングと言います)など骨接合術と一部異なる合併症が生じる可能性があります。
予防と対策
この骨折を起こすと生命予後を不良にするという報告があります。すなわち健康寿命を延伸するために普段から転倒予防の意識、健康な体づくりが重要となります。過度な痩せは骨折リスクを増加させますし、意識して日々の生活を送ることが大切でしょう。
本日は以上です。
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