お役立ちコラム

骨粗鬆症と運動療法

2020.12.01

日本における骨粗鬆症患者数は1280万人と推定されています。また骨粗鬆症による脆弱性骨折(股関節の骨折である大腿骨頸部骨折、腰椎圧迫骨折、手首の骨折である橈骨遠位端骨折、肩の骨折である上腕骨近位端骨折など)の発生件数は経年的に増加してきています。

最初の骨折を生じさせない一時予防と骨折の連鎖を断ち切る二次予防への対策は、患者個人だけでなく社会全体として取り組む必要があります。

骨粗鬆症の発症要因には加齢・閉経・遺伝など回避できない因子がある一方で、運動・栄養など生活習慣に関連した改善可能な因子もあります。

脆弱性骨折を防止し自立した健康的な生活を送るために骨粗鬆症に対する薬物療法と並行して食事療法と運動療法が不可欠です。

以前ブログで糖尿病についてお話ししましたが、実はこの事は糖尿病に対する治療にも関係しています。詳しくはこちら→糖尿病を予防しましょう

今回は運動療法について若年期、老年期とステージを分けてお話しできればと思います。

若年期に行う運動療法

女性では閉経後に骨密度が大きく低下します。中高年期を迎えてからの骨粗鬆症予防には限界があるため、人生の最大骨量が形成される成長期にできるだけ骨密度を上昇させることが大事になります。

思春期前の子供を対象にしたランダム化試験(RCT)ではジャンプ運動をする群としない郡で比較した所、ジャンプ運動を行うことで大腿骨頸部と腰椎の骨密度が有意に上昇したと報告されています。運動選手を対象にした調査では跳躍運動をしている人は、水泳、長距離走、短距離走をしている人よりも大腿骨や腰椎の骨密度が高かったという報告もあります。

このように跳躍運動のように骨に衝撃が加わる運動種目をしている若年者では骨密度が高く、運動量が多くても加重負荷のかからない水泳や骨に衝撃の少ないランニングでは骨密度は高くないことが分かります。

また成長期の骨密度は運動習慣によって高められることも分かっています。運動頻度が1〜2回以上/週の人はそうでない人よりも、また運動習慣が30分以上/回の人はそうでない人よりも骨密度が高い傾向があるという報告もあります。

若年期に行う運動療法まとめ

若年期における骨密度上昇と骨構造強化には、運動種目の特性が関連しています。跳躍を主体として重力に抗し、骨の長軸方向へと強い衝撃が加わる運動種目を継続して行うことが最大骨量を増加させる事につながるでしょう。

本日は以上です。

老年期に行う運動療法については後日お話しします。

(参考文献 酒井昭典;健康寿命の延伸として骨粗鬆症対策は重要である:The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.6 No.2 2020,122-126) 

 

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12月5日(土)12月19日(土)に私が整形外科診療を行います。また来年1月以降は毎日整形外科診療を受け付けています。もちろんインフルエンザワクチン接種も可能です。電話予約で受け付けていますのでご利用ください。

また診療日の変更があれば当ブログでお知らせいたします。

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