今回は整形外科から離れた腸内細菌についてのお話です。学会誌を読んでいて面白いと感じたのでわかりやすく説明していきたいと思います。
CMなどでもビフィズス菌、腸内細菌などのワードを良く目にしたり耳で聞いたりすることもあるかと思います。
そもそも腸内細菌とは?
ヒトや動物の腸内に常在している細菌の事です。ヒトとは共生関係にあり様々な働きがあります。代表的なものとして
- 病原体の侵入を防ぐ
- ビタミン類の生成をする
- 免疫系への関与が大きい
などが挙げられます。これらの腸内細菌の集まり(腸内細菌叢)の形成に影響を与える要因として次の事が指摘されています。
(妊娠時の母体ストレス、母親の肥満や飢餓、妊娠期の感染症、分娩の方法、授乳の方法、出生直後の衛生環境や出生前後に投与された薬剤など)
生後3年を経過すると腸内細菌叢は安定化していき成長とともに様々な環境要因に影響を受けます。今回はその中でも食事と薬剤についての影響についてまとめたいと思います。
食習慣と腸内細菌叢
①母乳とビフィズス菌
ヒトの母乳にはビフィズス菌と増やす何らかの因子が含まれている
②高脂肪食
高脂肪食による腸内細菌叢の変化は明らかで、母親の肥満度に関わらず妊娠期に高脂肪食を摂取する習慣があった母親から生まれた乳児の腸内細菌叢ではdysbiosis(腸内毒素症)が認められた。
③タンパク質
植物性タンパク質を多く含む食事の増加は有用菌を増加させる。その一方で動物性タンパク質を多く含む食事は腸の炎症や有毒な代謝産物の増加に関与している。
④食物繊維
腸内細菌叢によって必要不可欠な存在であり、1日あたりの推奨摂取量は25〜30gとされる。日本人の平均摂取量は15g程度に減少しており腸の健康状態を維持する摂取量が大幅に不足しているのが現状である。
⑤地中海食と日本食
西洋食とは対照的に、地中海食はより健康的と考えられている。よく地中海食を食べる人は心血管イベントが少なかった。さらに地中海食に含まれるベリーなどが含むポリフェノールの代謝物が、腸内のバリア機構の維持に関与すると明らかにされた。
地中海食と比較して日本食の腸内細菌叢への影響に関する研究が少ない。
しかし20〜70歳の軽度肥満者を現代食群と1975年食群とに割り振った試験では現代食群に比べて1975年食群で中性脂肪やHbA1cが減少するだけでなく腸内細菌叢の変化が確認された。
本日は以上となります。
次回は「腸内細菌に対する食事の影響の続きおよび薬剤の影響」についてお話したいと思います。
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