骨粗鬆症の治療は医師一人のみで継続的に診療することは困難な場合が多いです。特に骨粗鬆症では対象となる患者が高齢者・超高齢者であることが多いため、生活面での支援や指導を行うためには、多職種連携および施設間連携が重要となります。
そこで提唱されたのが「骨粗鬆症リエゾンサービス(OLS)」になります。
OLS…Osteoporosis Liaison Service
骨粗鬆症リエゾンサービスとは
海外で展開されている骨折リエゾンサービス(Fracture LiaisonService;FLS)をもとに骨折の一次予防から二次予防まで幅広くカバーするための日本骨粗鬆症学会が展開する事業となります。
主な目的は、
【初発の骨折を防ぎ、骨折の連鎖を断つ】
事になります。具体的には、啓発・教育・健診活動から病院、クリニックなどでの診療支援活動など幅広い領域への貢献を目指しています。
なぜ骨粗鬆症リエゾンサービスが必要か?
超高齢者社会の進行の中で加齢が発症進展に大きく関与する疾患への対応が新しい課題となっています。骨粗鬆症は脆弱性骨折と言う臨床イベントを発生する慢性疾患です。その上脆弱性骨折は次の骨折発生の強い危険因子となるため、骨折の二次予防は必須となります。確かに一度でも骨折と起こした方が再骨折を起こす可能性は高いですが、それで諦めてしまうことはありません。むしろ本格的に自身の骨を治療するきっかけと捉えて頂くことで今後の人生の過ごし方に影響してくると言っても過言ではないでしょう。
骨粗鬆症治療の継続率が低い要因の一つに治療効果を実感しにくい、という事が挙げられます。
また、前述したように高齢になるほど諦めに似た治療動機の低下を認めやすくなります。こういった要因が合わさり骨折二次予防のための治療継続率の低下につながっていると言えます。このような環境を打開するために骨粗鬆症リエゾンサービスが考案されました。
国内でのエビデンス作りと他学会との関わり
OLSの活動が社会に認知され定着するためには国内でのエビデンスが必要です。現在、日本骨粗鬆症学会では新たな大腿骨近位部骨折と椎体骨折で入院した骨粗鬆症患者に対するOLSの有効性を検証する研究を行っています。
また骨粗鬆症性骨折の予防に関して、日本サルコペニア・フレイル学会、日本整形外科学会、日本転倒予防学会、日本リハビリテーション学会、日本老年医学会との協力および意見交換がなされています。
最終的には脆弱性骨折予防のための共通カリキュラムによる教育システムの創設も視野に入れています。
以上骨粗鬆症リエゾンサービスについてでした。
本日は以上となります。
(参考文献 骨粗鬆症リエゾンサービス;鈴木敦詞:The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.6 No.4 2020.445-448)
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12月5日(土)
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12月23日(水)
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