今回は関節リウマチについてわかりやすく説明したいと思います。
関節リウマチというと、私が生まれる前(40年ほど前)には難病、不治の病として恐れられていました。
関節リウマチは、全身性炎症性自己免疫性疾患と呼ばれています。
つまり自分の免疫システムが過剰反応して自分を攻撃してしまうことで全身の炎症反応が生じてしまうという事です。特に関節でこういった炎症反応が生じるため関節の破壊、それに伴う痛みや腫れが生じます。
関節リウマチは小関節といって、手指や足指などの関節症状を来すことがよく知られています。ですが、大関節、つまり肩や膝などの関節が侵されてしまうとより重度の機能障害を来すことは容易に想像できます。
つまり大関節における関節破壊の治療と予防が極めて重要になっています。
特に荷重関節といって膝や股関節、足関節などの下半身の関節で一旦破壊が進行してしまうと、進行を止めることは極めて困難となります。
現在の基本的な治療方針としてはより早期に強力な治療が勧められています。
治療目標とは?
「関節リウマチ診療ガイドライン」によると治療目標として臨床症状の改善だけでなく関節破壊を抑えることで身体機能障害の防止と生命予後の改善を目指す、と明記されています。
そのために必要なこととして関節の炎症をできるだけ速やかに抑えて寛解に導入し、寛解期間を長期に維持する、とも述べられています。
ここでいう寛解とは、色々なスコアリング(DAS28-ESR,CDAI,SDAIなど、、ここでは説明を省きます)で評価される事が多いのですが、要は自覚症状(痛み、生活動作での障害の程度)や他覚所見(関節の腫れや変形、レントゲン所見)などを総合的に評価して落ち着いている状態を指します。
その上、寛解と一口にいっても、たった1回達成した人と継続的に達成している人では関節破壊の抑制の程度も当然異なっています。実際に寛解状態をよりよく維持できていた方が、そうでなかったものと比べて機能障害が少なかったというデータがあります。
私たち整形外科医は特に下肢の大関節破壊による機能障害に対して日常診療で遭遇する機会が多くなります。このことを念頭に入れて、関節リウマチによる関節炎、関節破壊の重要性を認識し治療してゆくことが大切と感じています。
本日は以上となります。
参考文献 関節リウマチにおいて関節破壊を規定するものは何か 伊藤 宣他,J Jpn.Orthop.Assoc.92:369-375 2018)
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