日本骨粗鬆症学会のガイドラインには栄養が充足されている場合、少なくとも18歳以前に強度のある運動を行うことが骨粗鬆症の発症予防に最も効果的である、と述べられています。
現在、我が国では子供の運動・スポーツ活動の場として義務教育としての学校体育、スポーツ少年団、総合型地域スポーツクラブ、民間のスポーツクラブや地域の子供会などがあります。
その中でも小学校には主だった部活動はないので週3限(45分×3)の体育の授業は極めて貴重な身体を動かす時間になっています。
文科省の調査によれば子供のスポーツ参加には「スポーツが好きな子」と「スポーツが嫌いな子」に分かれるとの事です。スポーツ庁も例年の調査で、特に女子中学生の2割以上は「スポーツが嫌い」と答えたということを問題視しています。
10歳代の骨の育成にとって貴重な時期に「体育嫌い」から「スポーツ嫌い」となり「生涯スポーツ」への動機付の機会を逃すことは非常に勿体無いと言えます。
成人の場合であれば、スポーツ指導を受ける時は指導者を選ぶ事ができます。義務教育の元では先生を選ぶことはできず、その結果「体育嫌い」や「運動嫌い」になることは可能な限り避けたいものです。
超高齢社会の社会保障制度を持続可能なものにするためには医療介護費の削減を意図した骨粗鬆症などの予防と年金対策に通じる健全な運動器の育成とが必要となります。
そのために子供の時から健康医療戦略を立てて学校体育を一次予防の場として健康投資をする事が重要でしょう。
本日は以上です。
(参考文献 子どもの運動・スポーツ活動と骨粗鬆症予防 中嶋寛之 The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.7 No.3 2021,103-106)