体軸性脊椎関節炎
体軸性脊椎関節炎は脊椎や骨盤に慢性的に炎症が見られる病気になります。
レントゲンで特徴的な所見を持つ強直性脊椎炎と、レントゲンでの異常を認めない体軸性脊椎関節炎であり、10代後半〜30代の若い時期に発症することが特徴です。
レントゲンでの異常所見を認めない体軸性脊椎関節炎は進行することで、レントゲンで明らかな変化を認めるようになります。こうなると強直性脊椎炎と診断されるようになります。この割合は2〜15年間でおよそ10〜25%程度といわれています。
体軸性脊椎関節炎とサイトカイン
体軸性脊椎関節炎には、炎症を起こすサイトカインという物質が関わっていると考えられています。サイトカインは免疫機能の調節や炎症などに関わるタンパク質です。その中でも炎症の原因となるものが炎症性サイトカインで、遺伝的な要因(病気になりやすい体質)に、物理的刺激や腸内細菌バランスの崩れなどがきっかけとなり免疫異常が生じます。そうするとサイトカインが大量に産生され、これにより炎症が起きることで痛みやこわばりが現れます。
炎症性サイトカインには、いつくかの種類がありIL-17A(インターロイキン17A)などが深く関わっていると考えられています。
体軸性脊椎関節炎の治療
基本的には薬物療法で痛みを抑えながら、定期的な運動やリハビリなどの理学療法で関節の動きを良くすることが目標となります。
体軸性脊椎関節炎の合併症
体軸性脊椎関節炎では、関節において慢性的な炎症が起こっているため炎症に関連した様々な合併症が現れます。
代表的な徴候をいかに挙げます
骨粗鬆症
体軸性関節炎になってからの期間が長い、病気の活動性が高い方ほど骨粗鬆症になりやすいといわれています。予防のためにはバランスの良い食事と適度な運動、定期的な骨密度検査が大切になります。
ブドウ膜炎
眼球全体を包み込む膜(ブドウ膜)に炎症が起きる病気です。治療せずに放置すると失礼する危険もあるため下記症状があれば主治医に相談し眼科受診する必要があります。
- 眼が赤い、痛い
- まぶしい
- 霧がかかったように見える
- 視力が落ちる
炎症性腸疾患
大腸や小腸などの消化管に炎症を起こす病気です。下痢、腹痛、血便などの症状が持続的に見られるのが特徴です。
乾癬
皮膚が炎症を起こし赤く盛り上がり、フケのようなものがポロポロと皮膚が剥がれ落ちる病気です。皮膚のほかに爪に症状が出ることもあります。
最後に
日常診療において、よく遭遇する疾患ではないものの、臨床所見や採血、画像結果を元に診断に至ることもあります。基本的に整形外科医が真っ先に出会うことが多いため常にこの疾患を念頭に入れて診療にあたる事が重要です。
本日は以上です。
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