橈骨頭骨折・橈骨頚部骨折

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概念

橈骨頭は前腕近位の回旋中心として機能し、内側側副靱帯とともに肘関節の屈伸および前腕の回旋における力の伝達の支点となります。

そのため橈骨頭骨折、橈骨頚部骨折が生じると、前腕回旋機能が損なわれ肘関節の屈伸に障害をきたします。さらに肘関節の外側不安定性を引き起こします。そのため解剖学的制服に基づく肘関節および前腕機能の回復が重要となります。橈骨頭骨折は日常診療においてよく遭遇する外傷で、成人肘関節周辺骨折の10-30%を占めるといわれています。

病態

受傷機転としては主に転倒あるいは転落した際に、腕を伸ばした状態で手をつく事によって生じます。腕における長軸方向の負荷あるいは肘外反力が加わり橈骨頭と外側カ部、特に上腕骨小頭が衝突して発生します。

受傷エネルギーが高度あれば内側側副靱帯損傷、肘関節脱臼などを合併しやすくなります。

症状

一般に橈骨頭、橈骨頚部骨折では肘関節を中心に疼痛と腫脹を認めます。疼痛あるいは骨折の転位に伴い自他動の肘関節および前腕回旋運動が制限されます。肘関節外反負荷による損傷では内側側副靱帯損傷に伴う内側部の症状や受傷機転に伴う手関節、前腕部痛を有します。

診断

診断は肘関節正面および側面の単純レントゲン撮影で比較的容易に診断できます。しかし橈骨頭の1/2以下で橈骨頭に限局する骨折では骨片が他の骨を重なり確認し難い場合があります。このような場合は橈骨頭、橈骨頚部の骨折型および有利骨片の評価に3D-CTが有用です。

治療

基本的に転位(ズレ)の小さい症例ではギプス治療を行い、整復後、適時前腕の自動回旋運動を行います。一般的に約3週間ギプス固定を行いその後4-6週程度内外反ストレスを禁止しながら肘の屈伸運動を行います。

転位の大きい症例や整復位を保てない症例では基本的に手術治療となります。

合併症、予後

転位の小さい症例では保存治療で良好な機能回復が期待できます。骨接合術の術後成績は術後早期から前腕の回内回外運動を行わせることで前腕の回旋機能の回復は良好です。転位の大きい例や粉砕例などでは人工橈骨頭を用いた関節形成術などもよく行われています。

小児の橈骨頭骨折

小児の橈骨頚部骨折は比較的稀で、肘関節周辺外傷の数%といわれています。一般に小児の自然矯正力から30°以内の屈曲転位あるいは3mm以内の側方転位は許容範囲とされています。

一般的に適切な治療が施されれば肘関節の機能障害を残すことは稀ですが、観血的整復を選択せざるを得なかった症例では関節可動域制限を残す可能性も生じます。

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