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院長ブログ

肥満と転倒・骨密度(2021.03.25更新)

生活習慣病における骨折のリスクは以前からブログでお話ししている通理です。今回は肥満における骨折・転倒や骨密度との関係についてお話しします。

肥満者における骨折・転倒リスク

女性226名(平均68歳)の1年間の転倒リスクを評価し,肥満度別にリスクの分布を比較した検討では、普通体重、過体重(BMI25-29.9)肥満(BMI30以上)の順にリスクが高くなることが示されています。転倒リスクの評価項目については転倒の既往は肥満者で多い傾向にあります。

同様に地域住民5681名(年齢68歳)の過去1年間の転倒のきおうについて普通体重,過体重,肥満の3群を比較した調査でも,過体重者は普通体重者に比べて有意に転倒の経験が多かったと示されています。 

しかし転倒に伴う外傷や医療機関への受診を要する転倒の既往は3群で差を認めなかったとの事です。この事は肥満者では高い骨密度や体脂肪,骨格筋のクッション効果が保護的に作用している可能性を示唆しています。

肥満と骨密度

脂肪組織と骨代謝の間には密接な関係があります。例えばレプチンは中枢性には交感神経を介して骨形成に抑制的に作用します。また末梢性には骨芽細胞に作用し骨形成に促進的に作用します。加えて脂肪組織の慢性炎症に起因するTNF-αも骨形成に抑制的に作用します。こうした内分泌的因子とは別に肥満者では多い体重による物理的荷重も骨密度に影響します。

肥満者を対象にDXA(Dual energy X-ray absorptiometry)法で評価した体脂肪量と骨密度の関連を評価した16研究(2587名)のメタ解析では体脂肪の絶対量は骨密度と正の相関を示し、体脂肪率は多くの場合関連を認めませんでした。また肥満は腰椎及び大腿骨頸部の骨密度高値を関連するとしたメタ解析もあります。まとめると肥満は骨密度をどうも上昇させる方向に関与していると考えられます。

 

上記2つだけを見ると肥満は骨折、骨密度に対してむしろ良い影響をもたらすのではないかと思ってしまうかもしれません。

しかし一方で肥満にサルコペニア(サルコペニアに関してはこちら)を合併したサルコペニア肥満では骨密度の低下や骨折のリスクの上昇も指摘されています。

健常人ではバランス運動、レジスタンス運動などが転倒イベントを減少させることが示されています。さらに坐位行動を減らし低強度身体活動を増加させることで総エネルギー消費の増加をもたらし食事量の増加を介してフレイルやサルコペニアの進行予防に働くと考えられます。

普段から体を動かすよう心がけることが大切です。

本日は以上です。

(参考文献:勝川史憲:肥満における骨折、転倒リスクと運動、身体活動の効果-現状と課題-,The Journal of Japan Osteoporosis Society Vol.7 No.1 2021 180-184)

【お知らせ】

新聞取材を受けました!

3月26日発売の産経新聞夕刊に取材を受けた記事が掲載されます。

ご覧いただければ幸いです。

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